頻拍性不整脈⑥ WPW症候群と頻拍発作|心電図所見も詳しく解説

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WPW症候群と頻拍発作

1)WPW症候群とは

WPW症候群とは、正常な刺激伝導系とは別に心房心室間にKentといわれる副側伝導路が存在し、洞結節からの刺激がこの2つの伝導路を通して心室に伝わっているものをいう(21)2)。Kent束を通る副側伝導路は正常の刺激伝導系より高速に刺激が伝わるため、心電図波形ではデルタ波がみられる(21-1)。これをシェーマにしたものが21-2である。臨床的にWPW症候群が問題になるのは、WPW症候群が頻拍発作を起こしたときで、最も多い頻拍発作が発作性上室性頻拍、2番目が心房細動であり、この2つが重要である。

【図21WPW症候群

1、WPW症候群の機序と心電図

図21-1

2、WPW症候群のシェーマ

図21-2

2)WPW症候群の頻拍発作

発作性上室性頻拍発作は、前述した房室回帰性頻拍(AVRT)で、Kent側を通るリエントリー回路が逆行性に回ったものである(21-3)。心房細動発作は、偽性心室頻拍(pseudo VT:WPW+AF)といわれ、心房のランダムリエントリーがKent束を通って心室内に多量に下りてきたものである。そのため、偽性心室頻拍の心電図では、基線のゆれ(細動波)デルタ波がみられる(21-4)。偽性心室頻拍は心房細動発作ではあるが、上室性不整脈に使用される抗不整脈薬である、アデノシンβ遮断薬Ca拮抗薬ジギタリスの使用は禁忌である。これらの薬剤を使うと房室結節での正常な刺激伝導系をブロックしてしまい、それにより高速バイパスとなっているKent束に一気に刺激が流れ心室の付加が異常に高まるためである。

【図21WPW症候群
3、房室回帰性頻拍(AVRT)の機序と心電図
図21-3

4、偽性心室頻拍(WPW+AF)の機序と心電図

図21-4 図21-4-1

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ABOUTこの記事をかいた人

福岡記念病院救急科部長。一般社団法人・福岡博多トレーニングセンター(福岡博多TC)理事長。 愛媛県生まれ、1986年愛媛大学医学部医学科卒。日本救急医学会専門医、日本脳神経外科学会専門医、臨床研修指導医。医学部卒業後、最初の約10年間は脳神経外科医、その後の約20年間は救急医(ER型救急医)として勤務し、「ER型救急システム」を構築する。1990年代後半からはBLS・ACLS(心肺停止・呼吸停止・不整脈・急性冠症候群・脳卒中の初期診療)の救急医学教育にも従事。2011年に一般社団法人・福岡博多トレーニングセンターを設立し理事長として現在に至る。主な著書に、『ニッポンER』(海拓舎)、『心肺停止と不整脈』(日経BP)、『ERで役立つ救急症候学』(CBR)などがある。