頭痛2 頭痛の原因診断方法について

スポンサーリンク

原因診断の全体像

頭痛の原因疾患を大別すると、症候性頭痛と機能性頭痛・神経痛に分類されることを前述した。頭痛の鑑別診断は表2のとおりであるが、前述したように最も頻度の高い疾患は緊張型頭痛、次が片頭痛で機能性頭痛・神経痛が頭痛の原因疾患の内の80%以上を占める。
【表2】
表2

しかし、これらの機能性頭痛・神経痛は生命予後や機能予後に関与することはない。生命予後や機能予後に関与する重篤な頭痛は症候性頭痛で、中でも頭蓋内疾患の中に多く存在する。そのため、症候性頭痛については生命予後および機能予後への関与の程度に従い診断・除外の順序が決められる。頭痛の診断フローチャートは図2のとおりで、これを基に原因疾患の診断法を説明する。
【図3】
頭痛図3フローチャート

このフローチャートは重篤な疾患から診断・除外するという考え方から、①頭蓋内疾患が原因で起こる症候性頭痛②頭蓋外疾患が原因で起こる症候性頭痛③機能性頭痛・神経痛、の順で診断・除外していく方法をとっている。フローチャートに従い第1診断から第6診断まで順番に説明する。第1~5診断までが頭蓋内疾患が原因で起こる症候性頭痛である。

第1診断

頭痛の第1診断突然の激しい頭痛をきたす疾患群の診断・除外である。この疾患群に含まれるものはくも膜下出血小脳出血小脳梗塞脳動脈解離(椎骨脳底動脈解離)である。中でも、頭痛の原因疾患の中で最も重篤な疾患がくも膜下出血であるため、最初がくも膜下出血の除外(診断)になる。くも膜下出血は絶対に逃してはならない疾患で、誤診は直接患者の生命予後を左右する。

くも膜下出血の特徴的症状は、突然の激しい頭痛(今まで経験したことのないような激しい痛み、バットで後頭部を殴られたような痛みと比喩される場合が多い)、悪心・嘔吐で、他に意識障害、をきたす場合が多い。このような頭痛をみた場合はくも膜下出血を疑い、頭部CTを至急で施行しなければならない。くも膜下出血は頭部CTでまず診断できる。

突然の激しい頭痛があるにも関わらず、くも膜下出血が否定された場合、他に小脳出血小脳梗塞脳動脈解離(椎骨脳底動脈解離)を考えなければならない。小脳出血や小脳梗塞は上記症状に加えてめまいを合併する。

ところで、脳梗塞による頭痛の頻度は低く、脳梗塞としては頭痛の鑑別診断に含まれないことが一般的である。しかし、小脳梗塞はその原因が脳動脈解離(椎骨脳底動脈解離)の場合があり、このような激しい頭痛が出現する。

頭部CTでは、くも膜下出血ではくも膜下腔に、小脳出血では小脳に出血所見が確認される。また、小脳に梗塞所見が確認されれば小脳梗塞であるが、CTで正常(出血も梗塞もなし)でも小脳梗塞と動脈解離が残されている。その場合、MRI・MRAを施行し、小脳梗塞と動脈解離の診断を行う。小脳梗塞はMRIの拡散強調画像で、動脈解離はMRAで診断可能である。

第2診断、第3診断

第2診断は、頭痛以外に脳の局所症状(片麻痺、言語障害、視野障害など)や意識障害を呈する疾患群である。ここに入る疾患群は通常頭部CTで診断可能であり、具体的には、テント上脳出血(大脳の脳出血)慢性硬膜下血腫脳腫瘍脳膿瘍特発性頭蓋内圧亢進症静脈洞血栓症である。

第3診断髄膜炎・脳炎の診断である。第3診断からは頭部CTで異常が認められない疾患群となる。髄膜炎・脳炎の典型的な症状は、発熱、頭痛、悪心・嘔吐であり、特に細菌性髄膜炎・脳炎では意識障害を合併する。他に重要な所見として項部硬直(髄膜刺激症状)が認められる場合が一般的である。このような症状・所見が認められれば、腰椎穿刺にて髄液検査を行い、髄液異常(細胞数の増加など)を確認する。

第4・5診断

第4・第5診断は、それぞれ高血圧性脳症低髄液圧症候群である。高血圧性脳症は血圧測定を行うことで概ね診断がつき、急激な血圧上昇(一般的には拡張期血圧が120~140mmHg、収縮期血圧にすると220~250mmHg)により症状が出現する。また、低髄液圧症候群は大部分が髄液検査の後に髄液が漏れることにより髄液圧が低下した結果起こるもので、髄液検査の既往を聞けば概ね診断がつくが、時に特発性に起こるものがある。ここまでで、頭蓋内症候性頭痛の診断が終了する。

第6診断

最後が第6診断で、ここでは頭蓋外症候性頭痛機能性頭痛・神経痛を主にその疼痛部位と症状から診断する。疼痛部位別(各疾患典型例の疼痛部位)に鑑別診断(原因疾患)を整理したものが表3である。この疾患群の中で機能予後を左右するような重篤度的に重要な疾患は緑内障副鼻腔炎で、頻度的に重要な疾患は、緊張型頭痛片頭痛群発頭痛大後頭神経痛三叉神経痛である。また、各疾患の要点は後述する。

【表3】
頭痛表3
さてここまで、「頭痛の原因診断」について説明してきました。いよいよ最後の記事では「頭痛の原因疾患とその治療法」について説明しますので、是非ご覧ください。

頭痛3 頭痛をきたす疾患とその治療法

2016.09.05
また、1つ前の記事で「頭という字の読み方」、「頭痛の部位」、「頭痛のメカニズム」、「頭痛の分類」、「頭痛の疫学」にテーマを絞って説明していますので、まだ読んでいない方は是非一読頂ければより一層理解が深まるのではないかと思います。

頭痛1 頭痛の部位、メカニズム、分類、疫学について

2016.09.03
スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

福岡記念病院救急科部長。一般社団法人・福岡博多トレーニングセンター(福岡博多TC)理事長。 愛媛県生まれ、1986年愛媛大学医学部医学科卒。日本救急医学会専門医、日本脳神経外科学会専門医、臨床研修指導医。医学部卒業後、最初の約10年間は脳神経外科医、その後の約20年間は救急医(ER型救急医)として勤務し、「ER型救急システム」を構築する。1990年代後半からはBLS・ACLS(心肺停止・呼吸停止・不整脈・急性冠症候群・脳卒中の初期診療)の救急医学教育にも従事。2011年に一般社団法人・福岡博多トレーニングセンターを設立し理事長として現在に至る。主な著書に、『ニッポンER』(海拓舎)、『心肺停止と不整脈』(日経BP)、『ERで役立つ救急症候学』(CBR)などがある。