意識障害1 意識障害とは | 意識障害と失神・失神性めまいの違いも詳しく解説

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意識障害の概念(意識障害とは)

 意識レベルの維持は、中脳(脳幹)にある脳幹網様体から視床を経由して大脳皮質へ投射される上行性脳幹網様体賦活系(ascending reticular activation system:ARAS)によって行われており(図1)、この系は意識の系ともいわれる。

【図1】上行性脳幹網様体賦活系(意識の系)
意識障害図1
意識障害(disturbance of consciousness)は、1)意識の系、つまり脳幹網様体(図2・A)、視床(図2・B)、視床から大脳皮質への投射系(図2・C)のどこかで器質的または代謝的障害が起こった場合(意識の系の障害)、2)意識の系に障害はないが持続的脳循環不全が起こった場合(持続的脳循環不全)(図2・D)、に出現し、一般的には数分以上の意識消失が持続する。意識障害の原因疾患としては大部分が1)意識の系の障害の範疇に入るもので、一部が2)持続的脳循環不全によるものである。持続的脳循環不全が原因となる意識障害はショックが原因で起こる意識障害である。
【図2】上行性脳幹網様体賦活系の障害と持続的脳循環不全の比較
意識障害図2

意識障害と失神・失神性めまいの違い

意識障害とよく似た症候に失神・失神性めまいがある。意識障害、失神、失神性めまいの違いは一般的には意識消失の時間で区別されているが、意識障害と失神・失神性めまいは病態が全く異なるため、その病態の違いを理解しておかなければならない。意識障害、失神、失神性めまいを概念、意識消失時間、病態で比較したものが表1である。

【表1】意識障害と失神・失神性めまいの違い
意識障害表1
※意識の系:上行性脳幹網様体賦活系(脳幹網様体から大脳皮質への投射系)
※脳循環不全:脳の循環血液量が全体的に減少すること
これらの違いは病態の違いにより結果論として意識消失時間が違ってくるものであって、意識消失時間をもってこれらの違いを定義しているものではない。
意識障害の主病態は前述したとおり上行性脳幹網様体賦活系の障害(意識の系の障害)(図2・A~C)であるのに対して、失神・失神性めまいの主病態は一過性の脳循環不全である。ただし、一部(副病態として)は、意識障害の原因が持続的脳循環不全(ショック)であったり、失神・失神性めまいの原因が一過性の意識の系の障害であったりする場合がある。意識の系の障害と脳循環不全の違いを整理したものが表2である。
【表2】意識の系の障害と脳循環不全の違い

  • 意識の系の障害
    1. 脳循環血液量は正常であるが、脳の機能(意識の系)が脱落したもの。
    2. 意識障害の場合は大部分がこの病態(主病態)で、かつ持続的である。
    3. 失神・失神性めまいの場合は一部にこの病態がみられ(副病態)、かつ一過性である。
  • 脳循環不全 
    1. 元々、脳の機能(意識の系)は正常であったが、脳循環血液量が低下するため最終的に脳の機能(意識の系)が脱落したもの。
    2. 失神・失神性めまいの場合の大部分がこの病態(主病態)で、かつ一過性である。
    3. 意識障害の場合は一部にこの病態がみられ(副病態)、かつ持続的である。具体的にはショックが原因による意識障害がこれにあたる。
また、失神・失神性めまいの詳細については失神・失神性めまいの項を参照していただきたい。

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福岡記念病院救急科部長。一般社団法人・福岡博多トレーニングセンター(福岡博多TC)理事長。 愛媛県生まれ、1986年愛媛大学医学部医学科卒。日本救急医学会専門医、日本脳神経外科学会専門医、臨床研修指導医。医学部卒業後、最初の約10年間は脳神経外科医、その後の約20年間は救急医(ER型救急医)として勤務し、「ER型救急システム」を構築する。1990年代後半からはBLS・ACLS(心肺停止・呼吸停止・不整脈・急性冠症候群・脳卒中の初期診療)の救急医学教育にも従事。2011年に一般社団法人・福岡博多トレーニングセンターを設立し理事長として現在に至る。主な著書に、『ニッポンER』(海拓舎)、『心肺停止と不整脈』(日経BP)、『ERで役立つ救急症候学』(CBR)などがある。