徐脈性不整脈の概念と診断 ② 房室ブロックと徐脈診断のアルゴリズム|心電図所見も分かりやすく解説

徐脈の概念と診断

前回の記事で「徐脈の概念と洞機能不全症候群(SSS:Sick sinus syndrome)」と「洞性徐脈(sinus bradycardia)」について説明しまてきました。ここでは、「房室ブロック(AV block:atrio-ventricular block)」と「徐脈の心電図診断アルゴリズム」について説明します。前回の記事を読んでいない方は以下の関連記事よりご覧になれます。
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徐脈の概念と診断 ① 徐脈の概念と洞機能不全症候群|また洞性徐脈とは

房室ブロック(AV blockatrio-ventricular block

房室ブロックとは、心房心室間の刺激伝導が遅延または遮断された状態で、房室結節、ヒス束、心室の、どのレベルでも起こりうる。尚、ブロックの部位で最も多いのは房室結節である。ブロックの機序により通常、1度房室ブロック(first-degree AV block2度Ⅰ型房室ブロック(second-degree AV block typeⅠ:Wenchebach型)2度Ⅱ型房室ブロック(second-degree AV block typeⅡ:MobitzⅡ型)3度房室ブロック(third-degree AV block:complete AV blockの4つに分けられる。これらは基本的に伝導遅延型伝導切断型に分類され、1度房室ブロックと2度1型房室ブロックは伝導遅延型、2度2型房室ブロックと3度房室ブロックは伝導切断型である。ところで、2度房室ブロック(Ⅰ型・Ⅱ型とも)の中で、心房心室間の伝導が2回に1回途絶える(QRSが2回に1回脱落する)場合を2:1伝導房室ブロック、心房心室間の伝導が連続して2回以上途絶える(QRSが2つ以上連続して脱落する)場合を高度ブロックといい、房室ブロックを詳細に分類した場合はこれらを含めて6つに分類される。なお、3度房室ブロックは心房からの伝導が完全に切断されているため完全房室ブロックともいう。房室ブロックは、ブロックの部位が下位に下がるにつれ(房室結節→ヒス束→心室)、QRS幅は広くなり危険な状態となる。それぞれの機序と心電図波形は131411のとおりである。

【表13】房室ブロックの機序

房室ブロックの機序

【表14】房室ブロックの心電図所見

房室ブロックの心電図所見

【図11】房室ブロックの機序と心電図

1、1度房室ブロック
1度房室ブロック

 

2、2度Ⅰ型房室ブロック

2度Ⅰ型房室ブロック

 

3、2度Ⅱ型房室ブロック

2度Ⅱ型房室ブロック

 

4、2:1伝導ブロック
1伝導ブロック

5、高度房室ブロック 高度房室ブロック

6、3度房室ブロック(房室結節でのブロック→狭いQRS
3度房室ブロック

7、3度房室ブロック(心室でのブロック→広いQRS

3度房室ブロック

房室ブロックの原因は主に心筋の虚血(虚血性心疾患)や炎症であるため、その基礎疾患の診断・治療が重要である。1度房室ブロック、2度Ⅰ型房室ブロックは、一般的に良性で特別な治療は不要であるが、時に2度Ⅱ型・3度房室ブロックへの移行がみられることがあるので注意を要する。治療としては、基礎疾患への対応である。伝導切断型である2度Ⅱ型房室ブロックと3度房室ブロックは症候性徐脈(後述)になることが多く、症候性徐脈の緊急治療と原因疾患の治療が必要である。

徐脈の心電図診断アルゴリズム

心電図診断アルゴリズムを1512にまとめる。心電図診断のための指標は、1)RR間隔が整か不整か2)PR間隔が一定か不定(ばらばら)3)PとQRSの関係(P・QRS、QRSの脱落など)、である。この3つの指標を順番に判定することで心電図診断は容易に行うことができる。
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【表15】徐脈の波形診断

徐脈の波形診断

【図12】徐脈の診断アルゴリズム

徐脈の診断アルゴリズム

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