不整脈の全体像③ 不整脈の分類と心拍数調節のメカニズム|不整脈

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不整脈の全体像

さて、前回と前々回の記事で「不整脈とは」と「刺激伝導系について」、そして「心電図の読み方」について説明してきました。
不整脈の全体像① 不整脈とは | 刺激伝導系の概説
不整脈の全体像② 救急医が教える心電図の読み方(基礎編)

ここでは不整脈の全体像の最後として、不整脈の分類と心拍数の調節メカニズムについて解説してきます。

不整脈の分類

不整脈を心拍数の違い、つまり、正常心拍数(HR:60~100回/分)徐脈(HR<60回/分)頻拍(HR>100回/分)の3つで分けたものが表6である。ちなみに、洞性徐脈、洞性頻拍も含めている。

【表6】不整脈の分類(洞性徐脈、洞性頻拍を含む)
表6
※救急現場で重要なものを太字で示す

心拍数が正常なときに起こる不整脈は期外収縮心房細動・心房祖動である。ところで、心房細動・心房粗動が臨床現場で問題となるのはそれらが頻拍発作を起こしたとき、つまり、発作性心房細動(頻拍性心房細動)、2:1伝導の心房粗動のときであるため、心房細動、心房粗動についての詳細説明は頻拍のところで行う。

表6に示した不整脈分類の中で救急現場において重要なものが徐脈・頻拍ともに5つずつある。徐脈では、洞性徐脈1度房室ブロック2度Ⅰ型房室ブロック(Wenckebach型)2度Ⅱ型房室ブロック(MobitzⅡ型)3度房室ブロック(完全房室ブロック)、の5つで、頻拍では、洞性頻拍発作性上室性頻拍心房粗動(2:1伝導)心房細動(頻拍性心房細動)心室頻拍(単形性心室頻拍)、の5つである。

心拍数の調整

心拍数の調整は心臓の収縮をコントロールしている交感神経副交感神経(迷走神経)で行われている。その機序は、交感神経を刺激すると心拍数上昇、副交感神経を刺激すると心拍数減少が起こり、抑制するとその逆の現象が起こる。また、交感神経と副交感神経の心臓への分布は、交感神経は心房・心室へ分布しているが、副交感神経は、心房が主で、心室にはほとんど分布していない。交感神経・副交感神経の刺激・抑制を行う方法・薬剤も含めて、心拍数の上昇・低下を起こす機序を表7図41)に示す。
【表7】心拍数の調整
表7

【図4】心拍数の調整
図4

前述したとおり副交感神経の心臓への分布は心房のみであるため、副交感神経の心室への刺激・抑制は、刺激伝導系を通して行われ、直接には届かない。この理由から、房室ブロックなどの心室内伝導障害がある場合はアトロピン投与による副交感神経抑制を行っても心拍数を上げる効果は期待できない。

これで全3シリーズに渡る不整脈の全体像についての解説は終わりました。
まだ見ていない方は、不整脈の全体像①、②についても是非ご覧ください!
不整脈の全体像① 不整脈とは | 刺激伝導系の概説
不整脈の全体像② 救急医が教える心電図の読み方(基礎編)

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ABOUTこの記事をかいた人

福岡記念病院救急科部長。一般社団法人・福岡博多トレーニングセンター(福岡博多TC)理事長。 愛媛県生まれ、1986年愛媛大学医学部医学科卒。日本救急医学会専門医、日本脳神経外科学会専門医、臨床研修指導医。医学部卒業後、最初の約10年間は脳神経外科医、その後の約20年間は救急医(ER型救急医)として勤務し、「ER型救急システム」を構築する。1990年代後半からはBLS・ACLS(心肺停止・呼吸停止・不整脈・急性冠症候群・脳卒中の初期診療)の救急医学教育にも従事。2011年に一般社団法人・福岡博多トレーニングセンターを設立し理事長として現在に至る。主な著書に、『ニッポンER』(海拓舎)、『心肺停止と不整脈』(日経BP)、『ERで役立つ救急症候学』(CBR)などがある。