急性冠症候群の臨床的分類

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急性冠症候群の臨床的分類は表1のとおりで、1)ST上昇型心筋梗塞(STEMI2)非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI3)不安定狭心症、の3つに分けられる。

【表1】急性冠症候群の臨床的分類

    1. ST上昇型心筋梗塞(STEMI:ST-segment elevation myocardial infarction)
      心電図上ST上昇または新規もしくは新規と思われる左脚ブロックが認められ、トロポニンの上昇が認められたもの。
      超急性期の急性心筋梗塞でみられる高い超急性期T波(図2)もこの範疇に入る。

 

    1. 非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI:non ST-segment elevation myocardial infarction)
      心電図上ST上昇が認められず(ST低下や陰性T が認められる場合が多い)、トロポニンの上昇が認められたもの。
      心電図上ST・T変化がない場合があるため要注意である。

 

  1. 不安定狭心症(UAP:unstable angina pectoris)
    心電図上ST上昇が認められず(ST低下や陰性T が認められる場合もある)、トロポニンの上昇が認められなかったもの。
    心電図上ST・T変化がない場合もあるため要注意である。

STEMIは心電図上ST上昇が認められた急性心筋梗塞で、NSTEMIは心電図上ST上昇が認められなかった急性心筋梗塞である。STEMIの中には、超急性期の心筋梗塞でみられる高い超急性期T図2)2)も含まれる。NSTEMIではST低下や陰性Tが認められる場合が多いが、心電図上ST・Tの変化がない場合もある。

【図2】高い超急性期T波の心電図(V2~V4のT)
図2

急性心筋梗塞と不安定狭心症の診断学的な違いは、経時的観察で心筋特異性の高いトロポニン上昇があるかないかで、トロポニン上昇を認めたものが急性心筋梗塞、認めなかったものが不安定狭心症である3)。これら3つの病態では治療法が異なるため診断が重要になってくる。特にSTEMIに対する治療は時間制限があるため早急な診断が必要である。STEMIは3本の主要冠動脈のうち最低1本が閉塞したもので、初期診療の対応レベルにより予後が変わってくる。

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福岡記念病院救急科部長。一般社団法人・福岡博多トレーニングセンター(福岡博多TC)理事長。 愛媛県生まれ、1986年愛媛大学医学部医学科卒。日本救急医学会専門医、日本脳神経外科学会専門医、臨床研修指導医。医学部卒業後、最初の約10年間は脳神経外科医、その後の約20年間は救急医(ER型救急医)として勤務し、「ER型救急システム」を構築する。1990年代後半からはBLS・ACLS(心肺停止・呼吸停止・不整脈・急性冠症候群・脳卒中の初期診療)の救急医学教育にも従事。2011年に一般社団法人・福岡博多トレーニングセンターを設立し理事長として現在に至る。主な著書に、『ニッポンER』(海拓舎)、『心肺停止と不整脈』(日経BP)、『ERで役立つ救急症候学』(CBR)などがある。