心室頻拍(VT:ventricular tachycardia)
1)心室頻拍とは
心室頻拍とは、心室内のリエントリー回路の形成で起こったもので、心室性期外収縮が継続したものである。心室頻拍の機序のシェーマと心電図を図18に示す。危険な心室性期外収縮は心室頻拍や心室細動(図19)に移行しやすい。危険な心室性期外収縮とは前述したが、1)多源性、2)ショートラン、3)R on T、の3つである。心室頻拍の心拍数は一般的には120回/分~250回/分である。
【図18】心室頻拍の機序と心電図
【図19】心室細動の機序と心電図
2)心室頻拍の分類
QRS波形の形により、同じ波形が続きRR間隔が整なものを単形性心室頻拍、QRS波形が異なりRR間隔が不整なものを多形性心室頻拍という。また、持続時間により、30秒未満を非持続性心室頻拍、30秒以上を持続性心室頻拍という。心電図では、QRS幅は広く、P波はほとんど認められないが存在する。多形性心室頻拍は、ほとんどが非持続性心室頻拍で、通常急速に無脈性心室頻拍や心室細動に移行する。ちなみに、一般的にいわれる心室頻拍(VT)とは単形性心室頻拍のことである。
3)torsades de pointes(TdP)
多形性心室頻拍の亜型にtorsades de pointesがある。これは、心電図上でRR間隔が不整であるがQRSに紡錘-結節パターンを認めたものである。
心室頻拍は通常、単形性と多形性の2つに分類されるが、これにtorsades de pointesを加えて3つに分類する方法がある。一般的な多形性心室頻拍とtorsades de pointesでは治療が異なるためこのような3つの分類が存在する。心室頻拍を単形性と多形性の2つに分類した場合は、torsades de pointesは多形性に分類され、多形性心室頻拍の亜型として扱われる。心室頻拍を3つに分類したときのそれぞれの波形を図20に示す。
【図20】心室頻拍の3分類
1、単形性心室頻拍
2、多形性心室頻拍
3、torsades de pointes
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