頻拍性不整脈⑦ 見逃してはならない心電図異常(突然死の原因)

見逃してはならない心電図異常(突然死の原因)

1)QT延長症候群  torsades de pointes

QT延長症候群とは、QT時間が延長したもので、遺伝子異常による先天性の要因が多いが、後天的には電解質異常(低K血症、低Mg血症、低Ca血症)薬剤過量(特にQT延長を起こす薬剤:プロカインアミド、キニジン、三環系抗うつ剤)によって起こる。頻度は低いが若年者の突然死の原因のひとつである。その原因はtorsades de pointes(前述)を誘発するためである。torsades de pointesが起こった場合は常にこのような基礎原因を考え、それを速やかに治療すべきである。一般的にはマグネシウム製剤の投与が第一選択とされる。

2)Brugada 症候群(特発性心室細動) → 心室細動(VF

原因となる基礎疾患がなく、突然心室細動が発症するものを特発性心室細動という。特発性心室細動の一疾患群の中にBrugada症候群(1992年にBrugadaらが報告)がある。これは、V1~V3で右脚ブロックを伴ったcoved型またはsaddle-back型のST上昇を呈し(図22)2)3)、突然に心室細動(VF)へ移行するものである。比較的若年健常者に多く見られ遺伝性Naチャンネル異常と考えられている。このような心電図が見られ、失神や失神性めまいがある場合はホルター心電図を実施し、VFの有無を調べる必要がある。

【図22】Brugada 症候群の心電図

Brugada症候群の心電図

Brugada症候群の心電図2

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