心房粗動(AFL:atrial flutter)
心房粗動とは心房内に250~350回/分(300回/分前後)のマクロリエントリー回路が生じ、さまざまな伝導比で心室に伝わる不整脈である。心房粗動の機序のシェーマと心電図を図16に示す。一般的には偶数比での伝導(2:1伝導、4:1伝導)が多く、2:1伝導、4:1伝導の場合の心拍数はそれぞれ120~180回/分(150回/分前後)、60~90回/分(75回/分前後)となる。なかでも頻拍として重要なものは2:1伝導(HR:120~180回/分:150回/分前後)である。1:1伝導になると心拍数が250~350回/分(300回/分前後)となり非常に危険な状態である。
【図16】心房粗動の機序と心電図
心電図では、このマクロリエントリー回路が250~350回/分(300回/分前後)の粗動波(鋸歯状波、F波)として認められ、その伝導比(心拍数)に応じたQRSが出現し、RR間隔は一定である。基礎疾患としては、虚血性心疾患、心臓弁膜症、慢性閉塞性肺疾患、心筋症などがある。2:1伝導の頻拍では、安定している場合はまずレートコントロールをCa拮抗薬やβ遮断薬を使って行う。心房粗動は心房細動に比べて稀な疾患である。
多源性心房頻拍(MAT:multifocal atrial tachycardia)
多源性心房頻拍は心房内の数箇所で異所性自動能の亢進が起こり発生する不整脈である。この不整脈はリエントリー回路形成ではなく自動能の亢進によるものである。多源性心房頻拍の機序のシェーマと心電図を図17に示す。心電図では3種類以上のP波が認められ、RR間隔は不整である。大部分が高度の慢性閉塞性肺疾患(COPD)が原因でおこり、頻度は低い。治療も原因疾患の治療となる。
【図17】多源性心房頻拍の機序と心電図
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