不整脈の全体像
さて、前回の記事で不整脈の全体像①「不整脈とは」と「刺激伝導系」について説明しました。
今回は不整脈の全体像シリーズ全3記事の2つ目として、心電図の読み方について説明していきます。
まず、心電図を読む上で知っておくべき基本的事項を説明し、次に心電図を読む上で着目すべきポイントについて解説しています。
とても分かりすく説明しているので、是非何度も読み返して心電図の読み方の基礎を習得してください!
心電図の読み方
(1)心拍数の決定
不整脈の診断は心電図で行うため、心電図の読み方の基本について前置きをしておく。心電図を読む場合、最初にしなければならないことは心拍数(HR:heart rate)の決定である。心拍数の計算方法はHR(回/分)=60/RR時間(秒)、で行う。臨床現場では簡易的計算法を用いてある程度の心拍数を直ぐに求める必要がある。心拍数の簡易的計算法は図2、表2のとおりで、HR(回/分)=300/RR間隔(大きいマス目のメモリ数)、から計算できる。
1mm(小さい1メモリ):0.04秒
5mm(大きい1メモリ):0.2秒
次に、心電図上の各波・各部分の意味を図3、表3に示す。
(2)心電図を読むための重要な4指標
不整脈の心電図診断を行っていく過程で重要な指標が4つある。それは、1)QRS幅、2)RR間隔、3)PQ間隔、4)PとQRSの関係、である。
1)QRS幅とは、QからSまでの時間(QRS時間)で、これが狭い(narrow)か、広い(wide)かに分けられる。狭いとは0.12秒未満(QRS<0.12秒)で、広いとは0.12秒以上(QRS≧0.12秒)である。ちなみに、正常波形の場合のQRS幅は狭い。
2)RR間隔とは、RとRの時間(RR時間)で、これは整(regular)か不整(irregular)に分けられる。RR間隔が整であれば、前述したとおりこの間隔から心拍数が算出できる。
3)PQ間隔とは、PQの時間(PQ時間)で、一定か不定(ばらばら)かに分けられる。なお、正常は0.12~0.20秒(0.12秒≦PQ≦0.20秒)、0.21秒以上(PQ≧0.21秒)を延長という。
4)PとQRSの関係とは、Pに対するQRSの対応状況のことで、心電図診断的には、PQ間隔が一定の場合にP・QRSがセットで脱落するかQRSのみの脱落であるかが重要になる。これらをまとめたものが表4であり、各時間(各間隔)の正常値は表5のとおりである。
さて、ここまで不整脈の全体像②心電図の読み方について説明してきました。
最後に不整脈の全体像シリーズ全3記事のラストとして、不整脈の全体像③ 不整脈の分類と心拍数の調節メカニズムで、不整脈の分類と心拍数調節のメカニズムについて説明してきます。是非ご覧ください。
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