クモ膜下出血

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1、くも膜下出血の原因

くも膜下出血の原因は14のとおりで、ほとんどが脳動脈瘤破裂図7)である。脳動脈瘤の好発部位は大部分がウイリス動脈輪の周辺で内頸動脈瘤、中大脳動脈瘤、前大脳動脈瘤、椎骨脳底動脈瘤に分けられる。他には脳動静脈奇形破裂図8)が原因によるものがある。

【表14】くも膜下出血の原因

1、脳動脈瘤破裂(90%以上)
2、脳動静脈奇形破裂
3、その他(原因不明を含む)

【図7】

図7

【図8】

図8

 

2、くも膜下出血の合併症

くも膜下出血は非常に死亡率が高い疾患である。その理由は重篤な合併症が存在するためで、その合併症は15のとおりである。合併症の中で最も重要な(重篤な)ものが再出血である。くも膜下出血を起こすと出血は一旦止まっているが、高血圧の持続などにより再出血を起こすことがあり、再出血を起こすと死亡する可能性が高くなる。この再出血は発症後6時間以内に起こることが多い。

【表15】
表15

他には脳血管攣縮水頭症がある。脳血管攣縮とは、くも膜下出血を起こすことにより、くも膜下腔に出血した血液が脳表を走行している主幹動脈に悪影響を及ぼし主幹動脈が攣縮を起こし狭窄・閉塞を起こしたものである。脳梗塞まで発展しなければよいが、脳梗塞を起こすと広範囲の脳梗塞の危険がでてくる。この合併症は発症後1~2週間に起こる場合が多い。水頭症とは、くも膜下腔を流れている脳脊髄液がくも膜下腔に出血した血液により流れが障害され脳室が拡大したもので内側から脳を圧迫するため意識障害や見当式障害などが出現する。

3、くも膜下出血の治療

くも膜下出血の急性期治療で最も重要なことは再出血の予防である。前述したとおり、再出血はくも膜下出血の最も危険な合併症で発症後6時間以内に多いため、くも膜下出血の急性期治療は再出血予防への対応と言っても過言ではない。くも膜下出血の原因の大部分が脳動脈瘤破裂であるため、原因の脳動脈瘤を確認しなければならない。MRA、3D-CTA、DSAなどで原因となる脳動脈瘤を確認後、開頭手術(直達手術)によるクリッピング術か血管内手術によるコイル塞栓術を行う(15)。これらが終了するまでは再出血予防のため血圧を下げておかなければならない。一般的には収縮期血圧を140mmHg以下に下げておくことが重要である。

【表15】
表15

脳血管攣縮の予防についてはCa拮抗薬などが使われる(15)。水頭症に対してはシャント手術(脳室-腹腔または脊髄-腹腔シャント術)が行われ(15)、シャント手術で水頭症はほとんど問題なく改善する。

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福岡記念病院救急科部長。一般社団法人・福岡博多トレーニングセンター(福岡博多TC)理事長。 愛媛県生まれ、1986年愛媛大学医学部医学科卒。日本救急医学会専門医、日本脳神経外科学会専門医、臨床研修指導医。医学部卒業後、最初の約10年間は脳神経外科医、その後の約20年間は救急医(ER型救急医)として勤務し、「ER型救急システム」を構築する。1990年代後半からはBLS・ACLS(心肺停止・呼吸停止・不整脈・急性冠症候群・脳卒中の初期診療)の救急医学教育にも従事。2011年に一般社団法人・福岡博多トレーニングセンターを設立し理事長として現在に至る。主な著書に、『ニッポンER』(海拓舎)、『心肺停止と不整脈』(日経BP)、『ERで役立つ救急症候学』(CBR)などがある。