頭痛3 頭痛をきたす疾患とその治療法

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頭痛の原因疾患要点

頭痛をきたす疾患を以下に列挙する。

くも膜下出血、脳出血

詳細は「脳卒中」をテーマにした記事を今後掲載するのでそれを参照していただきたい。

 

小脳出血

小脳に起こった脳出血で、原因の大部分は高血圧である。一般的症状は、めまい、悪心・嘔吐、頭痛、失調症(歩行障害・協調運動障害)であるが、血腫の大きさで症状が異なり、頭痛を訴えない場合もある。血腫が大きくなると意識障害が出現する。治療は、一般的には保存的治療になるが、血腫が大きい場合は手術(開頭血腫除去術)が行われる。

 

小脳梗塞

小脳に起こった脳梗塞で、原因には、脳血栓、脳塞栓、脳動脈解離がある。一般的症状は、めまい、悪心・嘔吐、頭痛、失調症(歩行障害・協調運動障害)であるが、突然の激しい頭痛を訴える小脳梗塞は脳動脈解離が原因である。治療は保存的治療である。

 

脳動脈解離

脳動脈が解離したもので、激しい頭痛を起こす。脳動脈解離は椎骨脳底動脈系がその大部分を占める。脳動脈解離の結果、動脈瘤ができてそれが破裂するとくも膜下出血を起こし、動脈が閉塞すると小脳梗塞を起こす。どちらでもなければ激しい頭痛だけにとどまる。治療は出血・梗塞疾患の治療が主で、脳動脈解離のみの場合は大部分が自然改善するため経過観察である。

 

静脈洞血栓症

静脈洞が血栓により閉塞したもので、上矢状静脈洞が最も多い。原因には感染性(中耳炎、副鼻腔炎、髄膜炎など)、非感染性(妊娠・分娩後、経口避妊薬、腫瘍、脱水など)、特発性(原因不明)がある。脳静脈は最終的に静脈洞に流れ込むため、静脈洞の血流停滞(血流の出口がない)は脳血流のうっ滞を起こし、頭蓋内圧亢進を起こす。一般的な症状は頭痛が最も多く、他に痙攣、意識障害などがみられる。治療は、まず保存的治療である。

 

脳腫瘍

頭蓋内にできた腫瘍で、占拠性病変として症状が出現する。腫瘍の部位と大きさで症状が異なり、腫瘍がある程度大きくなると頭痛が出現する。治療はその腫瘍に合わせた治療となる。

 

髄膜炎・脳炎

中枢神経系の感染症で大部分はウイルス性である。ウイルス性の場合は、生命予後・機能予後に関与することは少ないが、細菌感染による細菌性髄膜炎・脳炎は生命予後・機能予後に大きく関与する。一般的症状は、発熱、頭痛、悪心・嘔吐で、細菌性髄膜炎の場合は意識障害が合併する。他、重要な所見として項部硬直がある。治療は、ウイルス性の場合は対症療法が基本であるが、細菌性の場合は抗菌薬の投与が必要である。

 

脳膿瘍

脳内に膿瘍を作ったもので、腫瘍と同じように占拠性病変として症状が出現する。治療は抗菌薬の投与で、有効でない場合は手術(膿瘍除去術)を行う。

 

慢性硬膜下血腫

頭部外傷後(軽微な外傷でも起こることが多い)2~3週間後から2~3ヵ月後に硬膜下血腫を生じたもの、または、非外傷性のものでは3週間以上の症状の持続がみられたものである。外傷直後に起こる急性硬膜下血腫とは血腫の出現機序が異なる。一般的症状は、歩行障害、片麻痺、頭痛、見当識障害などである。高齢者、アルコール多飲者、乳幼児に多い。治療は手術(穿頭洗浄術)である。

 

高血圧性脳症

急激な血圧上昇(一般的には拡張期血圧が120~140mmHg、収縮期血圧にすると220~250mmHg)が起こった後、頭蓋内圧亢進のため頭痛、悪心・嘔吐、意識障害、時に脳の局所症状、などが起こったもので、血圧を下げることにより症状が改善する。治療は降圧である。

 

低髄液圧症候群

髄液圧が低くなることにより症状(頭痛)を併発するもので、大部分は髄液検査後に発症するが、特発性に起こるものもある。一般的症状は、立ったり座ったりするとガンガンする頭痛を訴えるもので、横になると頭痛は改善する。治療は自家血パッチ(硬膜外腔に血液を注入)を行うことである。

 

特発性頭蓋内圧亢進症

腫瘍や水頭症がないのに頭蓋内圧亢進、頭痛、うっ血乳頭がみられるもので、髄液圧が原因不明で上昇している。太った女性に多い。一般的症状は早朝の鈍痛が多く、いきむと頭痛が増強する。頭部CTでは脳室がスリット状になる(脳室が薄くなる)。治療は、減量、髄液を抜く、アセタゾラミド(ダイアモックス)の投与である。

 

緑内障

房水(眼内を循環している組織間液)の排出路の閉塞により、眼圧が急激に上昇したものである。中年以上の女性に多い。一般的症状は、眼痛(頭痛)、悪心・嘔吐、視力障害などである。治療は、マンニトール、アセタゾラミド(ダイアモックス)の投与である。

 

副鼻腔炎

副鼻腔の炎症で、多くは感冒に続発して起こる。副鼻腔炎の中では上顎洞炎が最も多い。この場合の一般的症状は上顎部痛で、上顎部の圧痛もみられる。単純X線と顔面CTで診断できる。治療は抗菌薬の投与である。

 

帯状疱疹

帯状疱疹ヘルペスによる三叉神経痛で、三叉神経第1枝に好発する。一般的症状は一方の前額部のピリピリとした痛みを訴え、疼痛部位に湿疹が出現する場合が多い。ただし、必ずしも湿疹が出現するわけではないので、湿疹がないからといって帯状疱疹は否定できない。治療はアシクロビル(ゾビラックス)の投与である。

 

側頭動脈炎

側頭動脈の血管炎で、側頭動脈以外に後頭動脈、椎骨動脈、眼動脈が侵されることがある。高齢者に多い(特に女性)。一般的症状は側頭部を中心に拍動性の激しい痛みで、浅側頭動脈の発赤・腫脹・圧痛がみられる。眼動脈が侵された場合は視力低下をきたす。赤沈亢進がみられる。治療はステロイド投与である。

 

外傷性頸部症候群

頸部の捻挫を主体として、頸椎・頸髄損傷を伴わない頸部外傷の総称である。頸髄神経根損傷を伴わず、頸部痛・頭痛、悪心・嘔吐を主とする頸椎捻挫型と頸髄神経根損傷を伴い、上肢のしびれ・脱力・感覚障害まで認める頸髄神経根損傷型がある。治療は、安静と対症療法である。

 

緊張型頭痛

頭部・顔面・頸部の筋緊張が原因で起こる頭痛で、心身のストレスの関与が多い。一般的症状は後頭部から始まる鈍痛(締め付けられるような痛み)で、肩こりを伴う場合が多い。治療は、ストレスの除去、筋弛緩薬と鎮痛薬の投与である。

 

片頭痛

体内外からの刺激によって起こる神経系と血管系の異常反応で、前兆(可逆性の視覚障害・感覚障害・言語障害)を伴うものと伴わないものがある。一般的症状は片側性・拍動性の発作性頭痛であるが、両側性に広がることも多い。心身のストレス(睡眠不足、疲労など)、食餌、薬剤、天候、月経などの発作の誘因が認められる。女性に多い。治療は、誘因因子を取り除く、食餌療法、予防薬の投与、スマトリプタン(イミグラミン)の投与などである。

 

群発頭痛

片側眼窩周辺部に起こる激痛発作で、反復発作型と慢性型に分けられる。一般的症状は眼窩周辺部の激痛、眼窩周辺部の発赤、結膜の充血、流涙などである。喫煙者、男性に多く、アルコールで誘発されることが多い。治療は100%酸素吸入、スマトリプタン(イミグラミン)の投与である。

 

三叉神経痛

三叉神経が直接刺激された疼痛で第2枝・第3枝に好発する。一般的症状は片側性の反復する発作性の顔面痛である。治療は、抗てんかん薬(カルバマゼピンなど)投与、神経ブロックである。

 

後頭神経痛

後頭神経の神経痛で、後頭神経に沿ったピリピリとした痛み・圧痛を特徴とする。

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ABOUTこの記事をかいた人

福岡記念病院救急科部長。一般社団法人・福岡博多トレーニングセンター(福岡博多TC)理事長。 愛媛県生まれ、1986年愛媛大学医学部医学科卒。日本救急医学会専門医、日本脳神経外科学会専門医、臨床研修指導医。医学部卒業後、最初の約10年間は脳神経外科医、その後の約20年間は救急医(ER型救急医)として勤務し、「ER型救急システム」を構築する。1990年代後半からはBLS・ACLS(心肺停止・呼吸停止・不整脈・急性冠症候群・脳卒中の初期診療)の救急医学教育にも従事。2011年に一般社団法人・福岡博多トレーニングセンターを設立し理事長として現在に至る。主な著書に、『ニッポンER』(海拓舎)、『心肺停止と不整脈』(日経BP)、『ERで役立つ救急症候学』(CBR)などがある。