頭痛1 頭痛の部位、メカニズム、分類、疫学について

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頭痛について、この記事を合わせて3つに分けて説明する。
まずこの記事では「頭という字の読み方」、「頭痛の部位」、「頭痛のメカニズム」、「頭痛の分類」、「頭痛の疫学」にテーマを絞って説明する。
次の記事では「頭痛の原因診断方法」をテーマに説明し、最後の記事で「頭痛の原因疾患とその治療法」を説明する。

頭痛2 頭痛の原因診断方法について

2016.09.04

頭痛3 頭痛をきたす疾患とその治療法

2016.09.05

はじめに -頭(あたま)という字の音読み-

「頭痛」について話を始める前に「頭」という字の読み方に触れておく。「頭」は訓読みすると「あたま」と読むが、音読みすると「とう」または「ず」と読む。この区別は、「頭痛(ずつう)」のときのみ「ず」と読み、「頭痛(ずつう)」以外は全て「とう」と読む。これは、「頭痛」を「とうつう」と読むと「疼痛(とうつう)」との区別ができなくなるからである。よって、「頭部」は「とうぶ」と読み、「頭蓋」は「とうがい」と読むのが正しい。なお、「頭蓋」については「ずがい」という読み方も許容されているが、正確には「とうがい」と読むべきである。

頭痛の部位

頭痛(headache)とは、脳頭蓋部に感じる痛みである。これと区別し難いまたは関連する痛みとして顔面痛頸部痛がある。頭痛と顔面痛及び頸部痛の境界は図1のとおりで、頭痛・顔面痛境界線は、鼻根から眼窩上縁を経て外耳道に達する線である1)。ただ、現実的には眼窩及び上顎部や後頭下部(頸部の上部)の疼痛も頭痛と区別し難いまたは関連する痛みであるため、頭痛として扱われている。

【図1】

頭痛図1-02頭痛図1

 

頭痛のメカニズム

脳実質には痛み(頭痛)を感じる組織はない。頭痛は、頭蓋内および頭蓋外の痛覚感受性組織から感覚神経を経て頭痛として認識される。頭蓋内の痛覚感受性組織は、硬膜、硬膜動脈、脳動・静脈、静脈洞などに存在し、テント上では三叉神経へ、テント下では舌咽神経・迷走神経・上位頸神経へと伝達される。

頭痛の分類

頭痛の分類は、国際頭痛分類第2版に従うと表1のとおりである。これによると、頭痛は、1)1次性頭痛2)2次性頭痛3)神経痛・顔面痛など、の3つに大別される。1次性頭痛とは機能性頭痛のことで器質的原因が明らかでないもの、2次性頭痛とは症候性頭痛のことで器質的原因が明らかなものである。

【表1】国際頭痛分類(ICHD-Ⅱ,2004)1)

Ⅰ、1次性頭痛
(機能性頭痛)
1、片頭痛
2、緊張型頭痛
3、群発頭痛と他の三叉神経自律神経性頭痛
4、その他の1次性頭痛
Ⅱ、2次性頭痛
(症候性頭痛)
5、頭頸部外傷による頭痛
6、頭頸部血管障害による頭痛
7、非血管性頭蓋内疾患による頭痛
8、物質またはその離脱による頭痛
9、感染による頭痛
10、ホメオスタシスの障害による頭痛
11、頭蓋骨、頸、眼、耳、鼻、副鼻腔、歯、口あるいは
他の顔面あるいは頭蓋の構成組織に起因する頭痛あるいは顔面痛
12、精神疾患による頭痛
Ⅲ、神経痛、顔面痛など 13、頭部神経痛と中枢性顔面痛
14、他の頭痛、頭部神経痛、中枢性あるいは1次性顔面痛

頭痛の国際分類を臨床現場での診断のためにわかりやすくした頭痛の鑑別診断が表2である。まず、大きい分類として、1)症候性頭痛(2次性頭痛)2)機能性頭痛(1次性頭痛)・神経痛、の2つに大別して、それぞれの中で重要な疾患を分類していく。症候性頭痛には、生命予後(死ぬかも知れない)、機能予後(後遺症を残すかも知れない)を左右する重要な疾患が多く含まれ、機能性頭痛・神経痛は基本的には生命予後および機能予後に関与しない。

【表2】頭痛の鑑別

頭痛の鑑別

 

頭痛の疫学

頭痛は非常にありふれた症状であり、程度の差はあっても、ほとんどの人が経験する非常に一般的な症状である。日本人で慢性的な頭痛を有する頻度は人口の約1/3、性差は女性に多い。また、頭痛で医療機関を受診する人は頭痛経験者全体の約1割である2)。頭痛の原因疾患で最も多いのは緊張型頭痛であり、次が片頭痛である。頭痛の原因疾患頻度は、緊張型頭痛が頭痛全体の約50%、片頭痛が約30%である3)。つまり、機能性頭痛・神経痛が頭痛全体の80%以上を占めることになる。

ここまで「頭という字の読み方」、「頭痛の部位」、「頭痛のメカニズム」、「頭痛の分類」、「頭痛の疫学」にテーマを絞って説明してきた。次の記事では「頭痛の原因診断方法」をテーマに説明し、最後の記事で「頭痛の原因疾患とその治療法」を説明する。

頭痛2 頭痛の原因診断方法について

2016.09.04

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ABOUTこの記事をかいた人

福岡記念病院救急科部長。一般社団法人・福岡博多トレーニングセンター(福岡博多TC)理事長。 愛媛県生まれ、1986年愛媛大学医学部医学科卒。日本救急医学会専門医、日本脳神経外科学会専門医、臨床研修指導医。医学部卒業後、最初の約10年間は脳神経外科医、その後の約20年間は救急医(ER型救急医)として勤務し、「ER型救急システム」を構築する。1990年代後半からはBLS・ACLS(心肺停止・呼吸停止・不整脈・急性冠症候群・脳卒中の初期診療)の救急医学教育にも従事。2011年に一般社団法人・福岡博多トレーニングセンターを設立し理事長として現在に至る。主な著書に、『ニッポンER』(海拓舎)、『心肺停止と不整脈』(日経BP)、『ERで役立つ救急症候学』(CBR)などがある。