意識障害2 意識障害の評価法 | JCS,GCS,ECSとは

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意識障害の評価法

評価法総論

意識障害の評価法にはJapan Coma Scale(JCS)(表3)とGlasgow Coma Scale(GCS)(表4)、の2つが日本では使われてきた。前者は脳血管障害に対して、後者は外傷に対して評価しやすい評価法である。
最近では、両者の短所を補い、良いところをとって作られたEmergency Coma Scale(ECS)(表5)が使われるようになってきている。
※表3~表5は下の各項目の説明の所に掲載している。
ところで、これらの評価表は客観的であるが意識障害レベルのイメージがとりにくいという欠点がある。それに対して意識障害レベルのイメージをしやすくする方法として、表61)のような意識状態を表す医学用語がある。これらは、正確な意識レベルの判定というよりは、イメージがしやすくある程度の意識状態の把握に役立つ概念である。

【表6】意識障害を表す言葉

  • 傾眠(somnolence)
    軽度の意識障害、呼びかけなどの軽度の刺激で覚醒するが刺激を止めると眠る。
  •   

  • 昏迷(stupor)
    呼びかけには反応しないが、痛み刺激など強い刺激で自動的な運動が起こる。
  • 半昏睡(semicoma)
    強い痛み刺激で逃避反応を示す。
  • 昏睡(coma)
    全ての刺激にほとんど反応しない。
  • せん妄(delirium)
    意識障害に精神運動性興奮が加わった状態、不安感が強く、しばしば、幻覚、妄想などがみられる。
  • 錯乱(confusion)
    全体としては意識が障害されているが、部分的に意識活動が可能な状態。

JCS

JCSの特徴は、意識レベルが3段階(1~3桁)に分かれ、それぞれが再度3段階に分かれており、イメージがしやすいという利点があるが、意識レベルが悪いときの詳細な反応区分については分類がないという欠点がある。しかも、この評価法の最も問題なところは、日本固有の評価法であり、世界レベルには至っていないことである。


【表3】Japan Coma Scale(JCS)
Ⅰ、刺激しなくても覚醒している(1桁で表現)
 1、だいたい意識清明だが、今ひとつはっきりしない
 2、見当識障害がある
 3、自分の名前、生年月日が言えない
Ⅱ、刺激すると覚醒する、刺激をやめると眠り込む(2桁で表現)
 10、普通の呼びかけに容易に開眼する
   (合目的な運動をするし言葉も出るが間違いが多い)
 20、大きな声または身体をゆさぶることにより開眼する
   (簡単な命令に応じる)
 30、痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すとかろうじて開眼する
Ⅲ、刺激をしても覚醒しない(3桁で表現)
 100、痛み刺激に対して、払いのけるような動作をする
 200、痛み刺激で少し手足を動かしたり、顔をしかめる
 300、痛み刺激に反応しない

GCS

GCSは、指標を開眼、言語、運動に分けて点数化して合計点で評価する方法で、最重症が3点、正常が15点である。この評価表の利点は点数を見れば重症度がわかることであるが、逆に意識レベルのイメージはJCSよりしにくい。世界レベルでの意識障害の評価法はこのGCSが使われる。

【表4】Glasgow Coma Scale(GCS)
意識障害表4

ECS

ECSは、このようなJCSとGCSのお互いの欠点を補うために考案された評価法である。ECSの特徴は次の二つである。一つは、GCSでの7点以下の重症がそのままECSの100L、100W、200F、200E、300に1対1で対応していること、つまり、JCSの欠点の一つである意識レベルが悪い場合の詳細な反応区分がGCSと同じように詳細に分けられていることである。ECSとGCSの対比を表7に示す。もう一つは、軽症から中等症においては、ECSとJCSは概ね対比されていて意識レベルのイメージがしやすく、かつECSがJCSより簡単に作られていることである。ただ、ECSもJCS同様世界レベルでの評価法には至っていない。

【表5】Emergency Coma Scale(ECS)
表5
【表7】ECSとGCSの点数比較
表7
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福岡記念病院救急科部長。一般社団法人・福岡博多トレーニングセンター(福岡博多TC)理事長。 愛媛県生まれ、1986年愛媛大学医学部医学科卒。日本救急医学会専門医、日本脳神経外科学会専門医、臨床研修指導医。医学部卒業後、最初の約10年間は脳神経外科医、その後の約20年間は救急医(ER型救急医)として勤務し、「ER型救急システム」を構築する。1990年代後半からはBLS・ACLS(心肺停止・呼吸停止・不整脈・急性冠症候群・脳卒中の初期診療)の救急医学教育にも従事。2011年に一般社団法人・福岡博多トレーニングセンターを設立し理事長として現在に至る。主な著書に、『ニッポンER』(海拓舎)、『心肺停止と不整脈』(日経BP)、『ERで役立つ救急症候学』(CBR)などがある。