脳梗塞の原因

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1、脳梗塞の原因

脳梗塞の原因は表7のとおりで、それぞれの頻度は表84)のとおりである。原因のほとんど(約93%)は脳血栓症(約59%)または脳塞栓症(約34%)であり、最も多いものは脳血栓症である。ちなみに、脳梗塞の原因が脳血栓症であるか脳塞栓症であるかの診断は難しく、画像診断上梗塞巣の点在や、後述する心房細動や僧帽弁狭窄症がある場合は脳塞栓症の可能性が高い。

【表7】脳梗塞の原因

表7

【表8】脳梗塞の原因頻度

表8

脳動脈解離胸部大動脈解離のような解離が原因で起こるものは、解離した動脈から分かれる分枝に狭窄・閉塞が起こりその支配領域に虚血が起きたものである。脳動脈解離は椎骨脳底動脈系(posterior circulation)に多く、これは小脳梗塞の原因になる場合が多い。他には内頸動脈起始部などでもみられる。胸部大動脈解離が原因で起こる脳梗塞は胸部大動脈から分岐する腕頭動脈や左総頸動脈の起始部での狭窄・閉塞により起こる。脳血管攣縮による脳梗塞は、くも膜下出血後にみられる脳血管攣縮が原因で起こるものである。他には頻度が低いが、モヤモヤ病や脳動静脈奇形などの血管異常、若い女性にみられる経口避妊薬服用が原因と考えられる場合などがある。

2、脳血栓症

脳血栓症は脳梗塞の原因で最も多い。脳血栓症は、脳血管の閉塞や狭窄が脳血管の動脈硬化性病変である血栓によって起こったものであり、ラクナ梗塞アテローム血栓性梗塞がある。ラクナ梗塞とは脳血管の中でも穿通枝(主幹動脈から枝分かれして脳の深部に入る小さい動脈)の狭窄・閉塞により起こるものであり、代表的なものとしてはレンズ核線条体動脈の閉塞による内包の脳梗塞である。また、アテローム血栓性梗塞とは脳血管の中でも主幹動脈(内頸動脈、中大脳動脈など)の狭窄・閉塞により起こるもので、代表的なものとしては頸動脈起始部や中大脳動脈水平部の狭窄・閉塞による脳梗塞である。梗塞巣の一般的な大きさは、ラクナ梗塞では小さいが、アテローム血栓性梗塞では中等度以上になることが多い。

3、脳塞栓症

脳塞栓症は脳梗塞の原因で2番目に多い。脳塞栓症は、脳血管の閉塞が、その閉塞部位より中枢側から血栓が動脈内を飛来(移動)することにより起こる。塞栓の原因には、心臓疾患が原因で起こる心原性梗塞と主幹動脈の壁在血栓が原因によるアテローム血栓性梗塞がある。心原性梗塞の原因は大部分が心房細動で、他には僧帽弁狭窄症がある。また、脳塞栓症を起こすアテローム血栓性梗塞は内頚動脈起始部の狭窄部位からの血栓の飛来が代表的なものである。

ちなみに、アテローム血栓性梗塞は血栓そのものによる狭窄・閉塞が原因で起こる脳血栓症と、その血栓が末梢部に飛来して脳血管を閉塞する脳塞栓症のどちらの原因でもある。つまり、アテローム血栓性梗塞には、アテローム血栓性脳血栓症アテローム血栓性脳塞栓症の2つの場合がある。ラクナ梗塞、アテローム血栓性梗塞、心原性梗塞の機序は図5のとおりである。

【図5】ラクナ梗塞、アテローム血栓性梗塞、心原性梗塞の機序
図5

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福岡記念病院救急科部長。一般社団法人・福岡博多トレーニングセンター(福岡博多TC)理事長。 愛媛県生まれ、1986年愛媛大学医学部医学科卒。日本救急医学会専門医、日本脳神経外科学会専門医、臨床研修指導医。医学部卒業後、最初の約10年間は脳神経外科医、その後の約20年間は救急医(ER型救急医)として勤務し、「ER型救急システム」を構築する。1990年代後半からはBLS・ACLS(心肺停止・呼吸停止・不整脈・急性冠症候群・脳卒中の初期診療)の救急医学教育にも従事。2011年に一般社団法人・福岡博多トレーニングセンターを設立し理事長として現在に至る。主な著書に、『ニッポンER』(海拓舎)、『心肺停止と不整脈』(日経BP)、『ERで役立つ救急症候学』(CBR)などがある。