脳出血

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1、脳出血の原因と好発部位、および高血圧性脳出血

脳出血の原因は11のとおりで、原因の大部分(約82%)1)は高血圧症である。高血圧症が原因で起こった脳出血を高血圧性脳出血という。高血圧症以外では、脳血管異常アミロイド血管症出血傾向脳腫瘍がある。

 

【表11】脳出血の原因

表11

脳出血の好発部位および頻度10)は、表12のとおりで、基底核(主に被殻)、視床、皮質下(大脳)などのテント上脳出血が大部分を占める。

【表12】脳出血の部位別頻度

表12

脳出血の好発部位の頭部CT所見(高吸収域)は図6のとおりである。脳出血の好発部位のなかで高血圧性脳出血の好発部位は基底核(主に被殻)視床脳幹(主に橋)小脳の4ヶ所であり、これらは穿通枝の破綻により出血したものである。高血圧症の既往があり上記部位に出血を認めた場合は、まず高血圧性脳出血と考えられる。逆に、高血圧症がない場合や出血部位が高血圧性脳出血の好発部位ではない場合は高血圧症以外の原因を考えなければならない。

【図6】脳出血の好発部位(6ヶ所)

A)基底核(被殻)出血

図6-A

B)視床出血

図6-B

C)脳幹(橋)出血

図6-C

D)小脳出血

図6-D

E)皮質下出血

図6-E

F)脳室内出血

図6-F

2、高血圧性脳出血以外の脳出血

1)脳血管異常

比較的若年者に多いものが脳血管異常による脳出血である。具体的には、脳動脈瘤破裂図7)、脳動静脈奇形破裂図8)、もやもや病図9)、血管腫などがある。脳血管異常による脳出血の好発部位は原因によって違うが一般的には皮質下出血(大脳半球)が多い。

【図7】脳動脈瘤

図7

【図8】脳動静脈奇形

図8

【図9】もやもや病

図9

脳動脈瘤破裂は、主にくも膜下出血の原因であるが、脳動脈瘤が脳内に埋もれていた場合などに脳出血を起こす。脳動静脈奇形破裂は若年者の脳出血で起こることが多く、30代での出血が最も多くみられる。もやもや病は、もやもや血管からの出血で、脳室内、基底核、視床への出血がみられる。これらの原因診断には、MRI、MRA(MR angiography)、3D-CTA(3 dimension CT angiography)、DSA(digital subtraction angiography)が必要である。

2)アミロイド血管症

高齢者に多いものとしてアミロイド血管症による脳出血がある。高血圧症及び他の原因がない高齢者の場合に疑わなければならない。これが原因の脳出血では、皮質下出血(大脳半球)小脳出血が多くみられ、特に高齢者の皮質下出血では一番にこの原因を考えるべきである。ちなみに、アミロイド血管症の診断は病理組織学的診断となる。

3)出血傾向

出血傾向が原因で起こる脳出血は、出血傾向が存在する疾患によるものと出血傾向のある薬剤投与によるものの2つに分けられる。出血傾向が存在する疾患が原因によるものとしては、急性白血病再生不良性貧血紫斑病肝不全などがある。また、出血傾向のある薬剤投与が原因によるものとしては抗凝固療法薬(ワーファリンなど)抗血小板療法薬(アスピリンなど)血栓溶解療法薬(rt-PA透析治療中(ヘパリン)によるものがある。これらの疾患や薬剤使用時に脳出血を起こした場合は、これらの原因が考えられる。特に、薬剤が原因での脳出血では、以後の薬剤使用を中止または減量する必要がある。

4)脳腫瘍

あまり頻度は高くないが脳腫瘍が原因の脳出血がある。脳腫瘍の中またはその周囲に出血がある場合は脳腫瘍が原因による脳出血と考えられる。

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福岡記念病院救急科部長。一般社団法人・福岡博多トレーニングセンター(福岡博多TC)理事長。 愛媛県生まれ、1986年愛媛大学医学部医学科卒。日本救急医学会専門医、日本脳神経外科学会専門医、臨床研修指導医。医学部卒業後、最初の約10年間は脳神経外科医、その後の約20年間は救急医(ER型救急医)として勤務し、「ER型救急システム」を構築する。1990年代後半からはBLS・ACLS(心肺停止・呼吸停止・不整脈・急性冠症候群・脳卒中の初期診療)の救急医学教育にも従事。2011年に一般社団法人・福岡博多トレーニングセンターを設立し理事長として現在に至る。主な著書に、『ニッポンER』(海拓舎)、『心肺停止と不整脈』(日経BP)、『ERで役立つ救急症候学』(CBR)などがある。