脳卒中の予防

1、脳卒中予防の考え方

脳卒中の各疾患についての原因と病態について述べたが、最も重要なことは脳卒中の予防である。そのためには脳卒中各疾患の主要原因を予防する必要がある。脳卒中各疾患の主要原因と基本病態及び外科的予防法については16のとおりである。脳梗塞・脳出血の基本病態は動脈硬化であるため、動脈硬化の危険因子(高血圧症、糖尿病、高脂血症、肥満、運動不足、ストレス、喫煙など)を予防することが最も重要である。それにより、脳梗塞や脳出血の罹患率を下げることができる。動脈硬化以外では、脳塞栓の原因である心房細動への対応と、くも膜下出血の原因である脳動脈瘤(未破裂脳動脈瘤)への対応が重要である。

脳卒中の主な原因と予防

2、脳卒中の外科的予防法

外科的な予防が可能なものは、内頸動脈起始部の血栓によるアテローム血栓性脳梗塞に対する予防と未破裂脳動脈瘤への破裂予防である。前者に対しては、直達手術による頸動脈内膜剥離術(CEA:carotid endarterectomyと血管内手術による頸動脈ステント留置術(CAS:carotid artery stentingがある。また、後者に対しては、開頭手術(直達手術)によるクリッピング術と血管内手術によるコイル塞栓術がある。適応があれば、これらの手術を行うことにより脳卒中の罹患率を下げることができる。