急性冠症候群の病理学的分類は表3のとおりで、1)Q波心筋梗塞、2)非Q波心筋梗塞、3)不安定狭心症、の3つに分けられる。
【表3】急性冠症候群の病理学的分類
Q波心筋梗塞は冠動脈の血栓形成が過大で内腔を完全閉塞し、心筋が壊死になった病態で、最終的に心電図上異常Q波が形成される。非Q波心筋梗塞はいったん閉塞した冠動脈の血栓が流出して早期に再開通し、一部の心筋が壊死になった病態で、最終的に心電図上異常Q波が形成されなかったものである。不安定狭心症は冠動脈の狭窄(不完全閉塞)にとどまり、血栓形成が亜完全閉塞で心筋虚血にとどまり、心筋壊死をのがれた病態である。このように急性心筋梗塞と不安定狭心症は血栓量の紙一重の差で相互に移行しうる。