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救急症候

急性冠症候群の診断

1)急性冠症候群診断の3指標 急性冠症候群の診断は1)自覚症状、2)心電図、3)心筋マーカー、の3つの指標から行う。これらをまとめたものが表4である。 【表4】急性冠症候群の初期診断(救急部門での診断) 2)症状による診断 急性冠症候群の症状としては、大部分が数分間(心筋梗塞の場合は普通15分以上)持続する虚血性胸痛(胸骨の奥の絞やく感を伴う胸痛)を訴え、上腕・肩・頸部・下顎・歯・背中・心窩部への […]

意識障害3 意識障害の鑑別診断と診断法を詳しく解説

意識障害の鑑別診断と診断法 1)鑑別診断と診断法の全体像 意識障害の鑑別診断を表8、表9に示す。どちらを採用しても差し支えないので2つを提示した。 【表8】意識障害の鑑別診断1(病態別) 脳疾患  1、脳卒中 1)脳梗塞 2)脳出血 3)くも膜下出血  2、中枢神経系感染症 1)髄膜炎・脳炎 2)脳膿瘍  3、慢性硬膜下血腫  4、脳腫瘍またはそれによる水頭症  5、てんかん 脳症  1、アルコー […]

意識障害2 意識障害の評価法 | JCS,GCS,ECSとは

意識障害の評価法 評価法総論 意識障害の評価法にはJapan Coma Scale(JCS)(表3)とGlasgow Coma Scale(GCS)(表4)、の2つが日本では使われてきた。前者は脳血管障害に対して、後者は外傷に対して評価しやすい評価法である。 最近では、両者の短所を補い、良いところをとって作られたEmergency Coma Scale(ECS)(表5)が使われるようになってきてい […]

意識障害1 意識障害とは | 意識障害と失神・失神性めまいの違いも詳しく解説

意識障害の概念(意識障害とは)  意識レベルの維持は、中脳(脳幹)にある脳幹網様体から視床を経由して大脳皮質へ投射される上行性脳幹網様体賦活系(ascending reticular activation system:ARAS)によって行われており(図1)、この系は意識の系ともいわれる。 【図1】上行性脳幹網様体賦活系(意識の系) 意識障害(disturbance of consciousnes […]

胸部症状3 動悸とその鑑別診断

動悸とは 動悸とは、自分の心拍を自覚して不快感を生じる症状である。正常な状態では、自分の心拍を感じて不快になることはないが、心臓の拍動が何らかの問題で異常になると動悸という症状を訴える。動悸の一般的な表現は「どきどきする。」、「脈が飛ぶ。」などという訴えである。動悸を訴える場合の心臓の拍動異常は2つに大別され、心拍が不規則と感じる場合と心拍は規則正しいが自分の心拍を強く感じる場合である。このような […]

胸部症状2 呼吸困難とその鑑別診断

呼吸困難とは  患者は息苦しさを感じたときに「息苦しい。」と表現する。呼吸困難とは、一般的に患者が「息苦しい。」と表現した場合に規定される症状である。呼吸困難の原因疾患で最も重要なものは低酸素血症(呼吸不全)の原因になる疾患群である。そして次に重要なものは過換気の原因になる疾患群である。 ところで、胸痛、呼吸困難という胸部症状はお互いにオーバーラップする場合があり、主訴を呼吸困難と考えた場合は、胸 […]

胸部症状1 胸痛とその鑑別診断

胸部症状(胸痛、呼吸困難、動悸) 胸部症状といわれるものには1)胸痛(chest pain)、2)呼吸困難(dyspnea)、3)動悸(palpitation)、がある。これらの症状が同時に重複して出現する場合もあり、原因疾患を考える場合、これらの鑑別診断の複数項を一緒に鑑別しなければならない場合も珍しくない。そういう理由から、この項ではまず胸痛について説明していく。呼吸困難、動悸については他の記 […]

吐血・下血と腰痛について

吐血・下血 1)吐血・下血とは  吐血とは、口から血液が排出された場合をいい、食道・胃・十二指腸などの上部消化管からの出血が原因である。時に、口腔内の出血や鼻出血を飲み込み、それが嘔吐された場合や、喀血(気管支や肺からの出血)を吐血と間違う場合があるため注意が必要である。血液が胃内に留まっていない場合は鮮血色を呈し、血液が胃内に留まると赤褐色からコーヒー残渣様になる。  下血とは、肛門から血液が排 […]

腹痛とその原因診断

腹膜炎と急性腹症  この項で扱う腹痛(abdominal pain)は急性腹痛の範疇に入るもので慢性的な腹痛については取り扱わない。急性腹痛の原因診断で最も重要なことは、腹膜炎を起こしているかどうかの診断である。腹膜炎を起こしていると生命予後に関与する場合があり至急の対応が必要である。腹膜炎の腹痛は体性痛と呼ばれ、中等度以上の持続痛がみられ、圧痛だけでなく反跳痛や筋性防御などの腹膜刺激症状がみられ […]

巣症状-大脳半球の局所障害による症状について-

巣症状の概念と鑑別診断  巣症状(focal sign)とは、大脳半球の一部(局所)が障害されることにより生じる症状のことで、局所症状ともいう。具体的には、片麻痺(hemiplegia)が最も多く、他には言語障害(speech disturbance)や視野障害(visual field disturbance)などがある。ちなみに、大脳半球が全体的に障害された場合は意識障害となり、この場合は巣症 […]